ファミリービジネス(同族企業)は「創業家などの特定のファミリーが、会社の所有(株式)と経営のいずれか、または双方を実質的に支配しているか、会社の経営方針に大きな影響力を持つなどの企業」を示します。

ファミリービジネスは、わが国では稚拙な形態であり、不祥事の温床であるというイメージが付きまとい、学生からは敬遠されがちなものです。しかし、欧米においては創業家が代々守る一貫した理念に基づく企業形態として、高い信頼を得るものになっています。何世代にもわたって事業を維持、発展させるファミリー企業には、一般の企業とは違う経営論が必要です。ファミリー企業に助言する専門家が、ファミリー企業に特有の構造と、長期的な発展形態を理解することで、より質の高い支援が可能になります。

世界の経済はファミリー企業が動かしている

日本のみならず世界の先進諸国においても大部分の企業はファミリー企業です。北米、英国、フランス、ドイツ、イタリアなどで企業数の75%から90%をファミリー企業が占め、各国の雇用の半数近くを担っており、世界のGDPの70~90%はファミリー企業が作り出している(米国FFI調べ)と言われています。わが国においても、上場企業を網羅的に調査した「ファミリービジネス白書2018」(後藤敏夫ほか、同友館)によると、東証1部2部、新興市場、地方市場を含めた3,524社のうち、53.5%にあたる会社がファミリー企業です。非上場の会社を加えると、日本の企業の95%はファミリー企業であると言われます。

ファミリー企業の方が業績が良い

ファミリー企業は非ファミリー企業と比べてどちらが業績が良いのか、という調査が世界各国で行われました。その結果は、ほとんどの先進諸国においてファミリー企業の方が業績が良いというものです。「ファミリービジネス白書2018」においても業績比較が行われた結果、総資産事業利益率、流動比率、自己資本比率の各指標において、ファミリー企業の方が優位であることが確認されました。ファミリー企業の方が資産を有効に活用し、健全な財務内容を保つ力が強いということです。業績に加えて、ファミリー企業の特徴として高い永続性があげられます。創業200年を超える長寿企業のほとんどはファミリー企業です。長期的な視野で経営され、ステークホルダーとの信頼関係は親から子へと受け継がれます。安全性を重視した財務戦略をとりますが、大胆な戦略転換によって環境変化に対応することも特徴です。これらの努力によって、成功するファミリー企業は高い永続性を保持しています。

欧米ではファミリー企業は信頼感が高い

ファミリー企業は業績的に優秀であるものの、日本では、どういう訳か評価が低く、遅れていて、稚拙で恥ずかしいというイメージを持たれています。不祥事が起こると同族企業だからだと言われてしまい、ファミリー企業の経営者も劣等感のようなものを感じて、社内外にはファミリー企業であることを隠そうとしがちです。欧米のファミリー企業のアドバイザーと話をすると、なぜ日本ではファミリー企業が尊敬されないのか?といぶかしがられます。事実、多くの欧米の企業では、企業理念の中にファミリー企業であることを誇りとする文言が記載されています。家庭向けクリーニング用品の世界的な企業である、米国のSCジョンソン社は、会社のロゴに“SC Johnson A Family Company”と表記し、信頼を表すマークとしています。ファミリー企業であるということは、創業以来、創業家のメンバーが、代々一貫した経営方針に基づいてビジネスを行ってきているということを意味し、これが信頼と尊敬を得るメッセージに繋がっています。また、「働き害のある会社(GREAT PLACE TO WORK)」ランキングには多くのファミリー企業がランクインしており、従業員にとっても働き甲斐のある会社が多いのです。