バトンタッチ

以前相談があった会社の事例です。
創業社長が息子さんに社長を渡したのが、91歳のとき。
息子さんは65歳。
社長を退いた理由は、「体力が弱まり、手形にはんこが押せなくなった」から。
そのとき息子さんはすでに引退を考え、老後の準備を整えていたとのこと。
遅すぎる承継の悲劇です。

ファミリービジネスにとって、最大の課題は事業の承継です。
経営者にとって、事業の承継は、「偉大な経営者」と言われるための、最後のテストです。

事業承継は、リレー競技のバトンタッチにたとえることができます。
先の走者が全力で走り、体力が限界に来る一歩手前で、フルスピードでバトンを渡し、新しい走者がまた全力で走ります。こうしてバトンは最高の速度で進むことができるのです。

全力で走りながら滞りなくバトンを渡すためには、渡す側と受け取る側が息を合わせ、互いに信頼しあうことが必要です。いかに優秀な走者でも、練習なしにいきなり本番でバトンを渡すことはできません。何度も練習をつみ、お互いのタイミングを合わせる訓練が必要です。

もし前の走者がバトンにこだわり、いつまでも握り続けていれば、次の走者はバトンを取りそこなうことになります。また、何の前触れもなくバトンを渡しても、またとりそこなうことになるでしょう。

事業承継には、リレー走者のように、本番前にバトンを渡す練習をすることがとても重要です。つまり、少しずつ権限を委譲する、ということです。

実際に行われている事業承継を大きく分類すると、次のような5つのパターンになります。

1.晴天の霹靂型
何の前触れもなく承継が行われる形。社長の事故や死去、入院などが原因のことが多い。後継者は何の準備もできていない。承継は確実に起き、通常は承継期間中におきる葛藤や迷いはないものの、準備不足のためビジネスに与える悪影響は大きい。

2.遅れ遅れ型
社長は後継者を指名し、少しだけ権限委譲するが、それ以上は先に進まず、長期間そのままになる。後継者は中途半端な立場のためフラストレーションが高じ、最悪の場合、辞職にいたる。会社に残ったにしても、リーダーシップよりフォロアーシップを学ぶことになる。また、現社長の体制が長引くため大胆な戦略変更ができず、ビジネスにも悪影響。

3.行ったり来たり型
社長は後継者にすべてを譲るが、ある時期に会社に舞い戻り、実権を取り戻す。人によってはこれを何回も繰り返す。後継者はこれによって経験をつむことになるが、あまり繰り返すと、後継者や幹部経営者のフラストレーションが高じ、会社を離れていく。

4.漸進型
5年から10年のスパンで計画的に権限を委譲し、最後には完全に新社長に委譲されている。後継者は徐々に経験をつみ、現社長も承継後の人生設計のための時間が持てる。しかし、この期間に両者や周りの人たちの間に葛藤や迷いが起きやすい。両者間のコミュニケーション能力を高め、話し合いながら問題を解決できる関係作りが重要。

5.親族外のCEO型
一族に後継者がいない場合、親族外の経営者が事業を継承する。ファミリーメンバーではできなかった改革も可能になる。次の世代のファミリーリーダーを育てるのが新社長の重要な仕事になる。

あなたの会社はどのパターンでしょう?

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