ファミリーが共有する夢 その2

経営コンサルタントを紹介する「経営堂」のホームページでの連載の第6回(その2)です。
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以前お話した、私が所属するアメリカのFFI(Family firm Institute)は、
ファミリービジネスへのアドバイスにかかわるプロフェッショナル1500名が
世界各国から集まる、1986年に発足した組織だ。

そこに集まるのは、経営系、組織論系、心理学系の大学教授、
ファミリーの資産運用などを行う銀行家や保険業者、
相続の相談にのる弁護士や会計士、ファミリーの力学を扱うセラピストなどだ。

FFIでは、ファミリーとビジネスの両方の課題を扱うためのコンサルティング手法を開発してきている。それを学ぶためのトレーニングプログラムを提供し、修了者は「FFI認定ファミリービジネス・アドバイザー」として登録される。

トレーニングプログラムでは、
互いに口もきこうとしない親子や兄弟を、どのように話し合いの場に参加させるか、
といった実践的なテーマから、
ファミリーとビジネスの理論的な背景、
また、アドバイザーとして守るべき倫理なども学ぶ。

ファミリービジネス・アドバイザーは、自分自身の専門分野をバックグランドに持ちながら、
必要に応じて別の分野の専門家とチームを組む、
という形で総合的にクライアントをサポートする。

このようにお話しすると、
何かの決まった"成功する形"があるかのように思われるかもしれないが、
ファミリービジネス・アドバイザーは決まった形を押し付けることはしない。

むしろ世代を超えてファミリーが伝え、育んでいる、
ファミリービジネスの原動力である「ファミリーが共有する夢」を重視し、
その夢の実現をサポートすることを大切にしている。

たとえば、日本では会社の株はたとえ親族でも分散させず、事業を継ぐ者に集約させる、
ということがコンサルタントの常識のようになっているが、
一族全体の繁栄という夢をもつファミリーにはそれを押し付けるべきではなく、
ファミリー全員が株主として会社を支え、ともに繁栄するための仕組みづくりをアドバイスする。

FFIに集まる人たちは、
普段は互いに同業者であり、競争相手としてしのぎを削るライバル同士だが、
この場では互いの知見を交換し学びあい、ファミリービジネスの繁栄と永続性を高め、
「三代で潰れる」ということわざを打破しようという意欲にあふれている。

私も会合に参加し、このような人たちと接するたびに、
この新しい分野を発展させるぞ!という決意を新たにしている。

いわば、ことわざの打破が、ファミリービジネス・アドバイザーが共有する夢なのだ。

私事だが、私は昨年このプログラムを終了し、
日本人で初めてのファミリービジネス・アドバイジング認定保持者になった。

プログラムの一部に、さまざまな事例に関してアドバイザーとしてどう対処するかを
担当の指導官にレポートし、フィードバックを受ける、というものがある。

ある事例で担当官から、「貴方の対処は合理的なものであることは理解できる。
しかし、クライアントのファミリーの夢をどのように尊重したのか?」と指摘された。

このフィードバックは私にとって強烈だった。

いかに有利な節税策でも、いかに効果的な株式保全策であっても、
また、それらが他社で成功した方策であっても
ファミリーの夢に逆行したものであれば、それをアドバイスすることは不適切である。

ファミリービジネス・アドバイザーにとって、
クライアントのファミリーの夢を知ること、
それをファミリーメンバーで共有するためのサポートは
最も重要な課題だ。

ある学者は、成功するファミリービジネスと失敗したファミリービジネスの違いを調べ、
次のように述べている。

兄弟間のいさかいや親子の葛藤は、どのビジネスファミリーにもあるものだ。
成功するファミリーと、失敗するファミリーの違いは、
そのような問題に際して、互いに率直に話し合い、相手の考えをよく聞き、時には妥協し、
より大きな夢のために互いに問題を解決するという能力が備わっているかどうかだ。
成功するファミリーは、このような能力を育むための努力をしており、
次の世代にそれを引き継がせるための仕組みを持っている。
「ファミリーの夢の共有」は、この能力を高め、世代を超えて伝えていく
ファミリービジネスのエネルギー源である。

あなたのファミリービジネスは、どんな夢を描いているだろうか。

■法則その6■ ファミリービジネスのエネルギーの源は、「ファミリーの共通の夢」である。

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