「家」とファミリービジネス

「家」という概念は欧米には無い概念だそうで、
欧米の学会などでは"IE"という言葉がそのまま使われる、と聞く。

ファミリー(家族)という言葉には、「家」の持つ事業やそれにかかわる人たちの帰属先という意味合いは無いためだ。

徳川宗家第18代当主、徳川恒孝氏の講演で、「家」に関する話を聞いた。
日本の「家」の概念は、農耕とともに育った、とのこと。

そもそも日本の水田は、とても一代で作れるものではなく、
何代もかけて緻密な計算に基づいて作り上げてきたものである。
それを行うには、先祖⇔自分⇔子孫を常に意識しなければならない。

武家の時代になって、「家」の概念は強いものになった。

戦国時代以前は、荘園主の権力は、血筋のみに基づいて引き継がれ、
実力は問われない。

しかし武家の時代になり、家柄は20%、実力が80%の重要度を持つようになる。
この実力は、武芸の実力だけでなく、経営者としての実力が重要であった。

戦国時代、それぞれの家が、200年かかってトーナメントを行い、
関が原で決勝戦を迎えることになった。

トップに立った徳川家には、家康の4代前、松平家の家訓がある。
1)戦に強く、経営に強くあれ
2)情深くあれ。大将は兵の末端にまで直接言葉をかけ、情を示せ。
  (Employee Satisfaction従業員満足度に通じる)
3)慈悲深くあれ。領土に対して深い慈悲を持って処する。
  (CSR:企業の社会的責任に通じる)

商家の家訓にも、その源流は戦国時代の武家の家訓に見ることができる。

「家」の後継者は、生まれ順や血筋よりも実力で決められてきた。
しかし、武家で長子相続が主流になったのは、
江戸時代中期、将軍吉宗の頃からであり、
明治憲法はそれを踏襲し、制度化した。

戦後の日本国憲法で制度としての家が廃止されるとともに、家という概念は実生活から薄れていくことになった。

徳川氏が解説した、戦国時代から続く『家』という概念は、まさに「ファミリービジネス」というコンセプトに通じるものではないか、と考える。

欧米で研究が進むファミリービジネスというコンセプトは、ビジネス(事業)、ファミリー(家族)、オーナーシップ(所有権)というシステムを包括する上位システムとしてのコンセプトである。

戦後の日本が忘れてきてしまったものを、今欧米の研究者が注目している、とういことは大変興味深い。

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