ファミリー企業のガバナンス 1

コーポレートガバナンスに関しては、多くの書籍で語られていることなので、特にファミリービジネスにとって重要な二つの点についてお話します。

ひとつ目は「社外取締役の採用を含めた取締役会の機能化」、
もうひとつは「ファミリーの価値観と企業理念の一貫性」です。

2013年のFFI(Family Firm Institute)年次大会の中で、興味深い発表がありました。オランダのある地方自治体が、ファミリービジネスのガバナンスと戦略化に関する実験調査のプロジェクトを行った報告です。オランダでは、社員数50名以上の企業に取締役会設置を義務づけ、社外取締役を置くことを推奨しています。これを促進する政策として、地方自治体が社外取締役の採用のためのコンサルティングやリクルーティングの費用を助成するという制度を用意しました。プロジェクトには従業員数26人から100人の中小ファミリービジネス18社が参加し、コンサルタントの指導のもと、取締役会を改編し、社外取締役やアドバイザリーボード(諮問委員会)を導入、その結果の戦略転換や業績の変化を大学の研究者が調査、報告しました。

調査の結果、確実な戦略転換のためには、オーナー経営者のオープンさとファミリーの合意が不可欠であるということでした。それにもまして感服したのは、地方自治体がファミリービジネスを重要な政策課題として認識しており、社外取締役の導入に積極的であることです。その後のディスカッションでは、欧州各国をはじめ、シンガポールなど多くの国でファミリービジネスを重視し、社外取締役の採用を促進する政策があるとの話でした。

社外取締役というと、大企業や上場企業のためのもの、とお考えの方がほとんどだと思います。実際、上場企業においては、法的な条件を満たし、社会的な責任を果たす、という観点から社外取締役を採用するのですが、ここでお話したいのは、そのような目的よりも、ファミリービジネスの視野を広げ、選択肢を広げ、活力を生み出すための社外取締役です。

次号へ続く

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