兄弟経営「林原」の場合

2011年に会社更生法の適用を申請した林原グループは、優秀なビジネスでありながら、ファミリーとビジネスの重複を上手く管理できなかったために破綻した事例ということができます。林原家は代々、長兄至上主義をとっており、弟は兄にたてついてはいけない、というファミリーの文化を持っていました。若くして父を亡くした四代目の林原健・元社長は、弟の林原靖・元専務と共に、研究開発を主軸にした独自の戦略で事業を発展させます。

兄と弟で役割を分担

社長は研究開発を、専務は営業、財務など研究開発以外のすべてを統括しましたが、意思決定はすべて社長と専務の二人で行い、取締役会を開催したことがありませんでした。メインバンクの中国銀行から決算書に粉飾があることを知らされるまで、社長は事態の深刻さに気づいていませんでした。資金繰りはすべて弟に任せ、詳しい報告を受けることがなかったのです。弟の専務は、兄のリクエストに応じて研究開発の資金調達を続けました。その資金は、長年にわたって改ざんされた決算書を銀行に提出して調達したものでした。

ビジネスの場でファミリーの帽子を被って失敗

弟を100%信頼して不正を疑わなかった兄と、兄の要求に異を唱えずに資金を調達した弟は、ファミリーにおける関係としては素晴らしい兄弟関係です。しかし、ビジネス上の関係としては、社長としての監督責任を全うせず、専務としての説明責任を果たしていませんでした。二人は仕事の場においても、兄弟というファミリーの帽子をかぶり続け、社長と専務というビジネスの帽子をかぶることをしていなかったのです。ここにファミリービジネスの構造的な課題があります。そして、この課題は、双方がビジネスとファミリーの二つの帽子をかぶり分けるように、コミュニケーション能力を高めることで解決できる問題でもあります。

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