ファミリー内で立ち現れる役割(代理戦争※)

ファミリービジネスを深く理解するために、ビジネスファミリーに起きがちなパターンをご紹介するシリーズ3回目です。

代理戦争

代理戦争も兄弟(いとこ間の場合もある)で経営に従事しているファミリービジネスに時折見られるパターンです。二人兄弟などで、ひとりが仕事の上で強いパワーを持ち、もうひとりがそれに従う状況で、当人同士には表面的な対立が起きていないにもかかわらず、夫人同士が対立するケースが見られます。兄弟の片方が辛抱を重ね、理不尽を飲み込むうちに、そのアンバランスを兄弟の「夫人の間」で解消するような力学が生まれ、互いに顔を見たくないほどの関係にまで悪化することがあります。兄弟が行うべき戦いと和解を、代わりに夫人同士が行う、代理戦争の状態です。

まわりからは二人の相性が悪い、と片付けられてしまうことが多いのですが、これを放置しておくと、次の世代の二つの家族の関係にも悪影響が及びます。兄弟の両親が他界すると、それまで祖父母の元に頻繁に集まっていた次世代のいとこたちは疎遠になり、七回忌の法要が終われば、顔を合わせることもなくなっていきます。もしこの兄弟が、株の共同所有者であったときには、次世代に株を移行するときに紛争の種になりかねません。

このような状態を避けるためにも、兄弟の間での高いコミュニケーション能力は重要です。感情と事実を分けて話す能力、相手の言葉を相手の立場に立って聞く能力、なぜNOなのかを相手が理解できるように伝える能力など、兄弟が互いのコミュニケーション能力を高めることで代理戦争は回避できるものです。

代理戦争という事態も、その背景にはイエ原則の崩壊があります。兄弟の一方がパワーを持つことの正当性がファミリーのメンバーの中で統一した見解になっていないのです。まずは、一族のメンバー間で価値観が違っていることを知ることです。同じだと思い込んだまま、目をつぶったままでは代理戦争のようなことが起きます。そして、夫人同士も代理戦争という形に操られていることに気づくことで変化が可能になります。

ビジネスに携わる兄弟(いとこ)がこれからどのような関係になりたいのかを腹を割って話し合うことで、夫人たちの代理戦争の必要もなくなります。

※代理戦争 セラピスト富士見ユキオ、岸原千雅子による

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